パステルなモノトーン

いつか、デビューしたいんじゃない。
書きたいんです。
頭が、パンクする前に。ここに。

自分理論

人間は、どうしてこうも、理論が好きなのだろうか。理論武装、なんて言葉もあるように、この世は理論が絶対的権力を持っているのではないか、果たしてそれは正しいのか。

科学者を父親に持った慎吾にとって、理論、という言葉は身近であり、また、容易くは使うことの出来ない言葉だった。それは、高校生の慎吾にとって、理論上で語るより、実践した方が単純明快であり、簡単なことだったからだ。

相対性理論。これを実践できたやつはいるだろうか。『この理論によれば』タイムスリップも夢ではないらしい。あくまで、この理論によれば、の話だが。

、と、ここまで考えては見たものの、やはり頭で考えるのは性に合わない。しかも、理論とは何なのか、まだよくわかっていない。ただ、俺は考えるより行動タイプの、普通の、高校生。それだけ。


「おはよう、慎吾くん。」

つい最近、いわゆる「高校デビュー」の波に乗ってしまい、流れで出来てしまった彼女が、カーディガンの袖口を目一杯のばした右手を振っている。

「おはよ。」

確かに可愛い。いつもローズの甘すぎないいい香りがするし、くちびるはほんのりピンクに色づいている。俺より身長は10センチ以上は小さく、いつも俺を上目で見つめてくる。

おまけに毎朝自分で作ってくる弁当を1口もらった事があるが、非常にうまい。女子力の塊、とでも言うべきか、そういう面に関しては、落ち度がない子だった。

ただ、彼女は、頭も良かった。それが問題なのではない。彼女は、英語が話せるバイリンガルではなく、はたまた、戦国武将に思いを馳せる、歴女でもなかった。

「最初はね、ふたご座流星群みて、感動しただけだったんだけどね、勉強しだしたら、楽しくって」

宇宙が大好きな、リケジョ、だった。

「だったね、まだ誰も見たことない、証明されてないことばーっかりなんだよ?わくわくしない?」

残念、君とは馬が合いそうにない。